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高校野球の指導者は再考を 「不眠不休」の球児の体は悲鳴を上げている  

 プロスポーツトレーナーの高橋塁です。今回は「勝負の夏場に力を発揮できない高校球児のメカニズム」についてお話しさせて頂きます。

 

 

 第91回選抜高等学校野球大会も開幕しました。通常、高校野球は3月の第2週目から練習試合が解禁となります。沖縄県を除き、大半の地域では7月に入り、夏の全国高等学校野球選手権大会に向けての地方予選が始まります。おそよ、高校3年生にとっては残り3か月ほどの高校野球生活となります。この3か月をいかに過ごすかで、夏の地方予選の戦い方も大きく変わります。

 

 私はかつて、プロ野球のDeNAでトレーナーを経験しました。プロ野球では2月のキャンプインから3月のオープン戦にかけて、チーム内で熾烈な争いがあり、1軍のベンチ入りメンバーが決まります。投手も1軍の先発ローテーションに入る選手は3月のオープン戦の時期から徐々に調整し、シーズン開幕を迎えます。1軍の先発ローテーションに入る投手はシーズンが始まれば、週1回の登板に向けて調整していきます。その1週間の過ごし方として、登板翌日はグラウンドでジョギングやストレッチ、軽めのトレーニングを行うアクティブレスト(積極的休養)を取ります。そして、登板の翌々日は完全休養日にして、その翌日から次回、登板に向け調整していきます。この1週間の中でも、トレーナーのマッサージ・ストレッチ等のケアも行います。このように体調管理に万全の体制を尽くしても、7、8月は投手の調整は難しくなり投球のパフォーマンスは落ちてきます。人間の体ですから、疲労は溜まっていくことは想像できると思います。

 

 このようにプロ野球の現状から考えると、高校野球の場合は選手たちの体に大きな負荷がかかっていることに気づかされます。土日に練習試合を行い、投手の少ないチームは1人の投手が土日の両日に先発し、長いイニングを投げることが珍しくありません。このような状態で、この時期から7月まで4か月間投げ続けるといかがでしょうか。パフォーマンスがアップすることは難しくなると思います。人間の体は無限ではありません。いくら若いからといえども、筋疲労が起こり、休養を取らなければ万全な回復ができません。また、パフォーマンスが落ち、ケガを誘発します。

 

 新潟県高校野球連盟の投球制限が物議を醸しましたが、野球に限らずスポーツの現場に関わる方々には人間の体の特性を理解していただき、その上で選手起用や育成に力を注いで頂きたいです。「気持ち」の部分も重要ですが、不眠不休で体に負荷をかけてはどうにもなりません。選手ともう少し対話して体の状態を確認して頂ければ、夏の地方予選では投手はじめ、出場選手のベストパフォーマンスを導けるのではないでしょうか。  

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高橋塁(たかはし・るい) 香川県出身。理学療法士、NSCA認定CSCS、JATI認定トレーニング指導者。理学療法士免許を取得後、07年から香川オリーブガイナーズでトレーナー、10年から横浜DeNAベイスターズでトレーナーを務める。16年よりプロスポーツトレーナーとして独立。徳島大学医学部博士課程に在籍し、スポーツ障害の研究を続けているほか、中高校生のアスリートを中心にトレーナー業を行っている。