プロ野球選手も知らない ウォームアップが心身に与える効果とは

 プロスポーツトレーナーの高橋塁です。前回、ウォームアップ(準備体操)時の注意点についてお話しましたが、今回はなぜウォームアップを行うのか、そして、得られる効果についてお話しさせて頂きます。

 

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 ウォームアップはほとんどの方が運動前に行っていると思いますが、「なぜ、行うのか?」まで考えて行っている人は少ないかと思います。実際に私が今まで指導してきた中で、入団まもないプロ野球選手の中でも、ウォームアップを行う意義を十分に理解して行っている選手は多くありませんでした。意義を理解して行うことにより、効果的になり、その後のパフォーマンスアップにもつながります。

 

・呼吸・代謝機能への影響

 ウォームアップ時には必ず、息切れを起こす程度まで、運動の強度を上げることにより、心肺機能への刺激が入り、体温(筋温)の上昇にもつながります。心拍数を毎回図るわけにはいきませんので、目安としてはウォームアップ中に必ず、息切れを起こし、汗をかく程度まで行ってみてください。心肺機能に十分な刺激を入れることで運動時の息切れがしにくくなりますし、心拍数も安定しやくなります。

 

・柔軟性(可動域)の改善

 ウォームアップによって汗をかけば、必然的に体も温まり体全体の柔軟性を向上させやすくなります。そこに、さまざまなストレッチを行うことにより、体全体の柔軟性(可動域)も改善され、その後の動きがよくなっていきます。

 

・ケガの予防

 体温(筋温)が上がり、体全体の柔軟性(可動域)が改善されれば、必然的にケガをしにくくなります。十分に体を温めずに柔軟性がない中でスポーツを行った結果、肉離

れれや各関節の痛みを引き起こした方もおられると思います。ウォームアップを入念に

行うことではケガの予防が一番の目的です。ケガをしてしまえば元も子もありません。

 

・反応時間の短縮筋力やパワー発揮への好影響

 ウォームアップ中から全力を出し切ることにより、その後の技術練習や試合での反応

や筋出力が十分に発揮できるようになります。そのためにも、気を抜かずに100%の力で取り組むようにしてください。

 

・競技に即した動きとしてのリハーサル

 当然のことながらウォームアップはその競技に即した内容にしていかないといけませ

ん。ウォームアップ中は常に競技の動きをイメージして行うことにより、その後の動きがより効率的になります。

 

・心理状態の調整

 ウォームアップなしに技術練習や試合を行うことはないと思います。ウォームアップ中は練習や試合のことを必ず意識しながら、モチベーションを上げたり、極度の緊張を抑える時間帯にもなります。なんとなくではなく、心を色々と整理しながら行うと、心理状態を安定させる時間帯になります。

 

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 このように、ウォームアップを行う意味を理解して行えば、上記の項目以外にも様々な効果がありますし、その後の練習や試合での動きは大きく変わってきます。ご自身でスポーツをされている方は常にウォームアップの効果を理解しながら、また指導者の方は、「なぜウォームアップを行っているのか」について常に選手とコミュニケーションをとりながら行ってみてください。思った以上に、ウォームアップ後の動きに効果が出ると思います。

 

[前回の連載] 意外に重視されていない ウォームアップする際の注意点とは - IMPRESSION

高橋塁(たかはし・るい) 香川県出身。理学療法士、NSCA認定CSCS、JATI認定トレーニング指導者。理学療法士免許を取得後、07年から香川オリーブガイナーズでトレーナー、10年から横浜DeNAベイスターズでトレーナーを務める。16年よりプロスポーツトレーナーとして独立。徳島大学医学部博士課程に在籍し、スポーツ障害の研究を続けているほか、中高校生のアスリートを中心にトレーナー業を行っている。