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高橋塁連載第4回 長距離の走り込みはパフォーマンスの飛躍的な向上につながる?  

 プロスポーツトレーナーの高橋塁です。今回は「長距離の走り込みとパフォーマンスの関係性」についてお話しさせて頂きます。

 

 野球は12、1、2月がオフシーズンになります。特に高校野球は対外試合の禁止期間になっているので、体作りに重点が置かれる時期になります。私は横浜DeNAベイスターズ時代にトレーニング担当だったので、シーズンオフも選手個人のランニング、トレーニングメニューを作成していました。

 

 「オフシーズン=走り込み」。スポーツに関わっている方はこのイメージを持たれる方も多いと思います。高校野球関係の記事を見ると、春先に投手の球速が伸びると「冬場に長距離の走り込みの結果、が出た」という表現がよく使われます。入手できる情報が限られた時代は、部活動などで指導者にひたすら長い距離を走られた選手が多かったと思います。でも、今は違います。指導者のみならず、選手たちもSNSなど様々な情報ツールから最先端のトレーニング情報を入手することができます。「長距離の走り込み」についてはプロ野球選手の中でも効果について賛否両論あるのが事実です。

 

 トレーニングを専門とする個人的な考えとしては、長距離走で得られる効果は確かに多く存在します。ただ、長い距離を走るだけでパフォーマンスが急激に向上するかと言われれば、話が飛躍しすぎていると思います。ランニングにも様々な種類があり、そのメニューによって得られる効果も変わってくるのではないでしょうか。

 

 例えば、息が切れる強度で長距離を走ると、全身の持久力強化にはつながります。しかし、あまりに長時間行うと過度のエネルギー消費につながり、全身の筋量、体重を増やすることに適していません。長距離走だけでなく、本数を限定した短距離走を取り入れると下肢筋力の筋出力アップ、筋量の増加も期待できます。このように長距離の走り込みだけが、投手の球速アップのようなスポーツのパフォーマンス向上に直結するわけではありません。ランニングメニューによって各種、基礎体力の強化が図れるというのが私の考えです。

 

 プロ野球で速球派の投手が口をそろえて言うように、短距離走で得られる筋量アップ、筋出力アップに加え、ストレッチ等、機能的なトレーニングにより全身の柔軟性が向上し、下半身からの力を上半身にうまく力を伝えられるようになることも、球速がアップに重要な要素だと思います。長距離走と同様に短距離走も重要ですし、体の使い方など技術面の向上も連動して、パフォーマンスが飛躍的に向上するのだと思います。

 

 投げる動作、打つ動作を向上させるためには体力、筋力面の強化も重要ですが、柔軟性や動作を効率的にする技術練習も重要です。パフォーマンスの向上は様々な要素がリンクして成り立っています。ゆえに、指導者はトレーニングメニュー、技術指導の意図と、それによって得られる効果を選手に丁寧に説明する姿勢が重要だと感じます。

高橋塁(たかはし・るい) 香川県出身。理学療法士、NSCA認定CSCS、JATI認定トレーニング指導者。理学療法士免許を取得後、07年から香川オリーブガイナーズでトレーナー、10年から横浜DeNAベイスターズでトレーナーを務める。16年よりプロスポーツトレーナーとして独立。徳島大学医学部博士課程に在籍し、スポーツ障害の研究を続けているほか、中高校生のアスリートを中心にトレーナー業を行っている。