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中村紀洋連載第23回 高卒入団で大成した選手の共通点とは

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 ドラフト会議を終え、将来を嘱望される選手たちが各球団に入団しました。今年の春夏甲子園連覇を達成した大阪桐蔭・根尾昂選手、藤原恭大選手、報徳学園・小園海斗選手らドラフト1位で競合指名された選手たちは、入団後も大きな注目が集まると思います。

 

 ただプロに入ったら指名順位は関係ありません。下位指名で入団した選手もチャンスはあります。日本一に輝いたソフトバンクの千賀滉大投手、甲斐拓也選手は育成枠での入団です。ちなみに僕も渋谷高校から91年ドラフト4位で近鉄バファローズに入団しました。

 

 プロで活躍する上で最も重要なのが対応力だと思います。高校生はまだ体ができていません。これからどんどん成長しますし、焦ることはありません。プロの投手の球のキレ、打者のスイングスピードはレベルが違います。当然戸惑うと思いますが、フォームをいじったりプレースタイルを根本的に変えようとすると長所が消えてしまいます。まずは目で慣れること。野手なら目で慣れて実戦でどう対応するかを考えなければいけません。そのために質が伴った練習をひたすら重ねること。そこで自分に合ったスイングが自然と確立できると思います。

 

 指導者の存在も非常に重要です。これは個人的な考えですが、僕がコーチなら最初は技術的な指導はしません。新人はプロの壁に当然ぶち当たります。ただそれは誰もが通る道なのです。全く打てずに欠点をわかっていても、最初は言わない。そこでああだ、こうだ言ってしまうと、選手が混乱して持ち味の長所が消えてしまう危険性があるからです。打てずにどうしたらいいのかわからず悩んだ時に、助言を求めてきます。そこでコーチが支えてあげる。選手が聞く耳を持った状況だと、こちらの助言に対する吸収力も速いです。

 

 僕は近鉄時代に水谷実雄打撃コーチという恩師がいました。打撃の状態が悪い時もあります。その状況で当てにいかずに、持ち味のフルスイングを貫けたのは水谷さんの教えのおかげです。大きな可能性を秘めていながら、コーチの助言でフォームをいじって元に戻せないまま輝きを失った選手を何人も見てきました。

 

 プロに入った時点で選手の皆さんは素晴らしい素質を持っています。厳しい世界ですが、新しい世代が球界を盛り上げてほしいですね。

中村 紀洋(なかむら・のりひろ) 1973年7月24日、大阪府生まれの45歳。渋谷高で2年夏の90年に「4番・投手」で激戦区の大阪府予選を勝ち抜き、同校初の甲子園出場に導く。高校通算35本塁打。91年にドラフト4位で近鉄バファローズに入団し、「いてまえ打線」の4番として活躍した。00年に39本塁打、110打点で本塁打王、打点王を獲得。01年も132打点で2年連続打点王に輝き、チームを12年ぶりのリーグ優勝に導く。04年に日本代表でアテネ五輪に出場して銅メダルを獲得。メジャーリーグ挑戦を経て06年に日本球界復帰し、07年に中日で日本シリーズMVPを受賞した。13年にDeNAで通算2000安打を達成。15年に一般社団法人「N’s method」を設立し、独自のMethodで子ども達への野球指導、他種目アスリートを中心にトレーニング指導を行なっている。17年には静岡・浜松開誠館高校で硬式野球部の非常勤コーチに就任。高校生の指導に力を注ぐ。