【スポンサーリンク】

中村紀洋連載第19回 高卒の選手が活躍するカギは「金属打ち」からの脱却

f:id:imp0201:20181228141909j:plain

 今年の夏の甲子園は第100回記念大会ということで大いに盛り上がりましたね。実際に試合を見て素晴らしいと思う選手も数多くいました。プロでドラフトの指名がかかる選手もいるでしょう。ただ高校野球とプロ野球は大きな違いがあります。高校野球でスーパースターと騒がれた選手がプロで全然活躍できず、引退してしまうケースも少なくありません。なぜかと考えたときに、「金属打ち」から脱却できないことが大きな要因として考えられます。

 ご存知の通り、高校野球は金属バットを使用します。芯を食わなくても飛距離が出るので、力任せにガンガン振ったら打球は飛んでいきます。プロ野球は違います。木のバットは芯を食わないと打球が飛ばないので、力だけでは対応できません。高校で本塁打を量産した選手がプロに入団してから打撃練習で内野の頭も越えずに試行錯誤する様子が、木のバットに対応する難しさを物語っていると思います。

 木のバットで重要なのは意識と感覚です。これは私個人の考えですが、上半身の力だけで反発力で打っている選手は苦労します。球を力強く叩くのではなく、バットをしならせて打つ感覚を重視した方が良いと思います。高校3年間は金属バットですが、その後の野球人生で活躍するためには、少しでも早く木のバットで振り続けて慣れることが大事です。

 私も高3の夏の大会が終わると毎日振り続け、新チームの実戦も木のバットで出場していました。どうやったら飛ぶのかを考えながら1球1球振り続けると、ふとした瞬間にコツをつかみます。この感覚を磨くことで金属打ちの悪癖は消えています。木のバットでどうやったら飛ぶのか、どの選手にも当てはまる正解はないと思います。それほど打撃は難しいですが、自分で探す作業が楽しいですし、野球の面白さだとも思います。

中村 紀洋(なかむら・のりひろ) 1973年7月24日、大阪府生まれの45歳。渋谷高で2年夏の90年に「4番・投手」で激戦区の大阪府予選を勝ち抜き、同校初の甲子園出場に導く。高校通算35本塁打。91年にドラフト4位で近鉄バファローズに入団し、「いてまえ打線」の4番として活躍した。00年に39本塁打、110打点で本塁打王、打点王を獲得。01年も132打点で2年連続打点王に輝き、チームを12年ぶりのリーグ優勝に導く。04年に日本代表でアテネ五輪に出場して銅メダルを獲得。メジャーリーグ挑戦を経て06年に日本球界復帰し、07年に中日で日本シリーズMVPを受賞した。13年にDeNAで通算2000安打を達成。15年に一般社団法人「N’s method」を設立し、独自のMethodで子ども達への野球指導、他種目アスリートを中心にトレーニング指導を行なっている。17年には静岡・浜松開誠館高校で硬式野球部の非常勤コーチに就任。高校生の指導に力を注ぐ。