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韓国紙社説 吉野氏ノーベル化学賞「日本を眺める苦々しさ」に意外な反応が

 韓国紙・中央日報が、リチウムイオン電池の原形を商用化し、科学の発展に寄与した化学者の吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことを取り上げた社説が大きな反響を呼んでいる。

 

 社説は「24人目に科学ノーベル賞を受けた日本を眺める苦々しさ」という見出しで、「日本は昨年にも京都大学の本庶佑特別教授が生理医学賞を受けるなど2年連続でノーベル賞受賞者を輩出して科学技術強国であることを立証した。歴代ノーベル賞受賞者の割合が世界で5番目になる。その間数多くの努力にもかかわらず、金大中元大統領のノーベル平和賞1件しか受賞できなかった韓国の現実が新たに対比される」と韓国との違いを指摘。「科学技術分野のノーベル賞は人類の視野を広げた新しい発見や技術に与えられる。その発見と技術が事実として立証され、人間生活に実際の影響を与えるまでは長い時間がかかる。韓国研究財団がここ10年間、科学分野ノーベル賞受賞に寄与した核心論文を調査した結果、受賞者の平均年齢は57歳だった。核心論文の生産には平均17.1年がかかり、生産後受賞まで平均14.1年が必要とされることが分かった。ノーベル賞受賞まで計31.2年の歳月が必要なわけだ。蓄積の時間が必要だ。このためには一分野を深く掘り下げた科学者はもちろん、研究を支援する社会的システムが必ず定着する必要がある」と分析した。

 

 その上で、「韓国の現実は道のりが遠い。教育や文化、政策がいずれも実用一辺倒だ。教育は直ちに大学入試に役に立つ国語・英語・数学に焦点が当てられている。幼い生徒が創意的に考え、それを発展させる余裕を許さない。粘り強い研究よりは直ちに使える技術を研究することにこだわっている。日本と米国のような先進国から見習って生産技術の発展に固執してきた韓国式発展モデルの限界だ」とつづった。

 

 そして、「政策も基礎技術よりは直ちにモノを作ることに役立つ実用技術を開発することに重きを置いている。企業はもちろん政府の研究政策が純粋科学に目を向け始めた時間も短さすぎる」とした上で、「このような環境と風土ではいくら優秀な研究者がいるといっても生き残ることが難しい。政府や企業、国民の認識が一変しなければならない理由だ。今ノーベル賞を待つのは木の下で口を開けて柿が落ちるのを待つようなことだ。だが、柿が落ちる木さえまともに育てられずにいるのが韓国の現実だ」と締めくくった。

 

 この社説にネット上では、「羨ましいと思うのは良い。しかし、苦々しく思うのは間違っている。苦々しくなんて思うような物の考え方をするから、相手を蹴落として汚い手段を使っても勝てばいいという方向に行ってしまうのだ。そんな考え方では、叡智を集めて人類社会の更なる発展に寄与した人を表彰するノーベル賞の受賞など到底無理です。自分達より優れている対象を羨ましいと思うならば、見習って一層の努力すれば良いだけだ」、「日本はノーベル賞ありきで研究しているわけではない。この記事で違和感を覚えたけど、ノーベル賞を受賞したいから研究体制を見直すというマインドだったら何十年経っても無理だと思う」など批判的な意見が見られた。

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 一方で、この社説を評価する声も少なくない。「珍しく的確な自己分析をされています。それは非常に大切なことだと思います。特にノーベル賞の受賞数だけで、この国が素晴らしかったりそうでなかったりするわけではありません。他国をひがんだり、自国を卑下する前に、『人類の利益に供する地道な研究』が必要なのです。そしてそれをサポートする官民を挙げた支援体制もね」、「見出しはどうかと思ったけど、記事の中身は鋭い。これは現在の日本の環境にも言える。実用性や即効性を求めて、地道で長期的な研究が軽んじられている。日本もノーベル賞が受賞できない時期が来るのではないか。この記事を他人事とは思えないね」などの主張もあった。