木村昇吾が明かす 広島のキャンプの凄さとは

 木村昇吾です。メルボルンを拠点に豪州でクリケットの武者修行に励む日々を送っていますが、この時期になると思い出すのが日本で現在行われているプロ野球のキャンプです。僕自身は一軍で活躍したいという思いで練習し、何が必要かを考えて取り組んでいました。よく練習のスタンスについて、「量より質」、「質より量」のどちらかが議論になりますが、量を重ねてこそ質が問われるのではないかと感じます。「練習をしていない」と言われている名選手たちも僕の知る限り、物凄い量の練習を積み重ねています。それを表に出さないだけですし、中には効率良く練習してその成果を試合で最大限発揮する選手もいましたが、その選手の効率良さを求めた練習も時間は長くて密度の濃いものでした。

 

 

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 僕は体力には自信があり、大きな故障をしたこともなかったので過酷な練習も乗り切ることができました。両親に感謝ですね。愛知学院時代は朝から晩までバットを1000スイング以上振り続けていましたが、きついと感じるよりうまくなりたい思いの方が勝っていました。広島のキャンプでは午前中に2時間以上走り込むなどひたすらトレーニングに時間を費やす経験もしました。グラブやバットはまったく持ちません。ひたすら体を強くするための練習です。エリート集団の巨人に負けたくないとOBの方々から代々受け継がれた練習法だと思います。午後になると、緒方孝市監督、前田智徳さんら先輩方が集中力を研ぎ澄ましてひたすらバットを振っている姿を見て後輩の僕らもやらなければいけないと思いましたし、練習で土台を作る伝統は後輩の丸佳浩選手(現巨人)、鈴木誠也選手に受け継がれているのだと思います。広島の強さは練習量に培われた努力によって、選手たちが成長したことが要因だと感じます。

 

 僕が1軍で出場できるきっかけを作って頂いたのが広島なので、この練習を乗り越えたことは大きな自信になりました。同じポジションの若手にも負けたくなかったですし、野村謙二郎さん(元広島監督)に「おまえは体力あるな」と言われた時は本当にうれしかったのを今でも鮮明に覚えています。

 

 クリケットでも練習量で手ごたえをつかんでいくスタイルは変わりません。もちろんただ量を重ねていくだけでなく、質も求めていきます。30年間野球をやってきたので体に染みついてきた感覚をクリケット仕様にアレンジすることは簡単な作業ではありません。そのためにはひたすらバットを振り続けるしかないです。プロ野球のキャンプで選手たちは自分の体をいじめ抜いていると思いますが、僕も負けずにクリケットで自分を追い込みます。

 [前回の連載] 木村昇吾連載第44回 日本では報じられない 大坂なおみが豪州で与えた衝撃 - IMPRESSION

木村 昇吾(きむら・しょうご) 1980年4月16日、大阪府生まれの38歳。尽誠学園で3年夏に甲子園出場。愛知学院大に進学し、遊撃手でベストナインを5度獲得するなどリーグ通算打率・318、5本塁打。02年ドラフト11位で横浜に入団。07年オフに広島にトレードされ、11年は遊撃のレギュラーをつかみ、自己最多の106試合出場で37犠打をマーク。15年オフにFA権を行使したが移籍先が難航し、西武にテスト生で入団。昨年限りで戦力外通告を受け、クリケットに転身。インドのプロリーグでの活躍を目指す。あずさ夫人と子供は1男2女。 木村昇吾公式サイト(http://shogokimura.net/)