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JT連載 ヤクルト・五十嵐が引退 「パワー投手は短命」の常識覆した剛腕

 「株式会社J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は12日に現役引退を発表したヤクルト・五十嵐亮太投手についてお話させて頂きます。

 

 私はロッテ、ヤクルト、DeNAでコンディショニング・トレーナーとして携わってきましたが、プロ野球の世界である定説があります。それは「パワーピッチャーは短命」ということです。プロ野球に限らず、メジャーリーグや他の海外リーグでも言われています。

 

 皆さんが思い浮かべる150キロを超える剛速球投手は圧倒的なインパクトを残した半面、2、3年登板し続けると、肩や肘を故障してその後は球速が戻らず短い現役生活で終わったケースが少なくないと思います。これは体の専門家の見地から分析すると致し方ない「宿命」であると言えます。体全体を使って目一杯投げる速球派はインナーマッスルである右肩の腱板に大きな負荷がかかります。救援は毎日のように登板するため、腱板が消耗して最終的に断裂するなど故障のリスクが非常に高いのです。

 

 五十嵐投手はこの常識を覆したパワーピッチャ―で、驚きと共に非常に興味深い投手です。担いで腕を押し出すようにして投げる独特の投球フォームは右肩、右ひじに大きな負担がかかるように感じますが、実働20年間で登板数は計905試合。ヤクルトでは同僚の石井弘寿投手と共に、「ロケットボーイズ」と呼ばれ、04年に当時日本人最速の158キロを計測し、37セーブで最優秀救援を獲得しています。メジャーでも2年連続30試合以上に救援登板し、ソフトバンクでも14年に63試合登板でリーグ最多の44ホールドを挙げるなど毎年登板数を重ねています。06年にトミージョン手術を受け、右肘痛で戦線離脱したこともありましたが、自慢の剛速球は145キロ以上を計測し、そのキレは衰えるどころか年々凄みを増していく。こんな投手は今までいなかったではないでしょうか。

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 強靭な肉体もさることながら、故障でのリハビリや救援失敗などの試練を乗り越える精神的な強さ、自分の体の状態に応じてフォーク、ナックルカーブ、カットボールを習得して速球をさらに速く見せるなど創意工夫を積み重ねたからこそ、これだけの凄い成績を残せたのだと思います。現役生活で培った経験は貴重な財産になり、知識の引き出しも多いと思います。あの豪快な投球が見られないのは寂しいですが、指導者になってどのように選手を育成していくのかが楽しみですね。