【スポンサーリンク】

大船渡・佐々木の登板回避で「疑問に残る行動」とは

 「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は高校野球の岩手県大会決勝戦で登板回避した大船渡・佐々木朗希投手についてお話しさせて頂きます。

 

 佐々木投手の今回の登板回避は大きな反響を呼びました。最後までマウンドに上がることはなく、花巻東に2-12で完敗。国保陽平監督も苦渋の決断だったと思います。大船渡のメンバーの中には高校で野球を辞めてしまう選手もいるでしょう。「甲子園という目標に最善を尽くしたのか。チームプレーである以上、佐々木投手を投げさせるべきだったのでは」という意見があります。一方で、将来を見据えた時にこの決勝戦に登板して肘、肩を痛めて選手生命に影響する可能性がゼロとは言えません。国保監督の登板回避という決断に賛同する主張も理解できます。

 

 プロ野球のロッテ、ヤクルト、DeNAでトレーナーを経験していた私個人としては、この問題についてどちらが正解とも言えないと考えています。なぜなら、佐々木投手の肉体にどれぐらいの負荷やストレスがかかっているかは当事者しかわかり得ないですし、コーチや監督など内部でしか知り得ない事情があるからです。ただ一つ異論を唱えたいのは球数で、登板回避の是非を判断することです。

 

 佐々木投手が今大会で決勝戦まで投げた球数は計435球。この球数を他の投手と比べて「少ない」と判断するのは非常に危険です。以前の連載でも言及しましたが、成長段階の故障は①オーバーユース(投げすぎによる酷使)、②正しい投球フォームを指導者に教えられていない、③肩、肘を含めた体のどこかに異変がある。この3点が大きな原因になっているケースが多いです。①のオーバーユースも投手によって体格や投げ方は十人十色なので、体にどれぐらいの負荷がかかっているかを球数だけでは判断できません。肩、肘に負担がかかるフォームの投手と、恵まれた体格で理にかなった投げ方の投手では疲労を感じる球数も違うからです。

 

  一つ残念だったのは、大船渡に「なぜ佐々木投手を投げさせなかったんだ」という抗議の電話が多数寄せられたことです。色々な意見を主張することは建設的な議論として良いことだと思いますが、学校に電話して解決できる問題ではありません。こうした抗議の電話で、心を痛めるのは佐々木投手をはじめとした選手たちです。3年間野球に打ち込んできた選手の心情を考えると疑問を感じました。

f:id:imp0201:20190802112416j:plain

 佐々木投手は甲子園に行けずに悔しい思いをしたと思いますが、大船渡で過ごした3年間は大きな財産になると思います。今後が本当に楽しみなので日本球界を代表する投手になってほしいですね。