J.T.連載第28回 現役引退…後藤武敏は「松坂世代」の太陽だった

f:id:imp0201:20181228115624j:plain

 

 「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は10日に今季限りでの現役引退が発表されたDeNA・後藤武敏内野手についてお話させて頂きます。

 

 ゴメスは私が15年、16年とDeNAのファームチーフトレーナーだった時期に深いかかわりがありました。勝負に強い打撃でチームを幾度も救ってきましたが、肉離れが癖になっていたため調整が非常に難しかったと思います。彼の凄いところは人によってまったく態度が変わらないところです。誰に対しても穏やかに明るく接する。焦りや苛立ち、辛い時期もあったと思いますがそれを表に出さない。トレーナーの私たちにも協力的でした。あれほどのベテランだったら自分のペースでやりたい部分もあったと思いますが、ファームにいる時は特別扱いできません。しっかりと意見交換した上で若手と一緒に全体練習から取り組むことを快く納得してくれました。真面目にトレーニングや練習に打ち込む姿勢を他の選手も見ています。DeNAは若手主体のチームですが、選手が伸び伸びとプレーできたのはゴメスの影響が非常に強かったと思います。トレーナー陣もゴメスには感謝とともに「早くケガを治してあげたい」と人一倍思わせる選手でした。

 

 野球に対してストイックな姿勢で「こだわり」も強く感じました。私はティー打撃で球を投げることが多かったですが、バットの上っ面にバックスピンを当てて打球を上げる練習しか見たことがありません。癒し系のイジられキャラで選手だけでなく、トレーナー陣など裏方にも愛されていましたが、グラウンドでは一心不乱に理想を追い求める緊張感を漂わせていたのが強く印象に残っています。

 

 松坂世代はBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスの村田修一選手、巨人の杉内俊哉投手と次々に引退を発表しました。松坂世代は高校野球のフィーバーからプロ野球の世界でも多くの選手が記録にも記憶にも残る実績を残しました。球界への貢献度は高く、この歴史が色褪せることはないと思います。その中でゴメスはこの黄金世代でも特別な立ち位置だったと思います。故障もあって規定打席に一度も到達しませんでしたが、彼の人間性は周囲を惹きつける魅力があり、その場を明るくする太陽みたいな存在でした。球界に残した有形無形の財産は貴重なもので、ケガをして苦しんだ経験は彼が指導者になって非常に役立つと思います。

 

 最後に、謙虚で自分の欲を出さないゴメスが唯一熱望していたのが、横浜高校の同級生で深い絆で結ばれた中日・松坂大輔投手との対戦です。誰もがこの対戦を見たいでしょうし、ゴメスも松坂投手に託したい想いがあると思います。この夢が叶うのを祈るばかりです。

[前回の連載] J.T.連載第27回 宮川紗江のパワハラ騒動でうやむやにしてはいけない「問題」とは - IMPRESSION

高橋純一(たかはし・じゅんいち)  1976年8月18日、神奈川県横浜市生まれの42歳。MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。 J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)