J.T.連載第34回 引退勧告を拒否して現役続行でビールかけを経験…名脇役から名指導者へ

 

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「J.T. STRENGTH & CONDITIONING」の代表取締役社長として活動しているJ.T.(高橋純一)と申します。今回は今季限りで現役引退を発表したDeNA・田中浩康選手についてお話させて頂きます。

 

   私は09年オフにヤクルトにコンディショニング・コーディネーターで入りましたが、浩康選手は当時二塁で不動のレギュラーでした。堅守に加え、打撃も犠打など小技が器用でツボにはまればパンチ力もある。まさに2番という打順が似合う選手でした。山田哲人選手が台頭して14年以降は控えになりましたが、早大の後輩・青木宣親選手と同じように「野球を楽しむ」ことを常に忘れず練習、試合に取り組んでいる選手でした。16年オフにヤクルトで引退勧告を受けて現役続行を希望し、DeNAに入団してプレーした2年間は今後の野球人生で貴重な時間だったと思います。

 

 両球団でコンディショニング分野の専門家として働かせて頂きましたが、同一リーグの2球団でもその環境や文化は異質なものです。ヤクルトは昭和から続く「組織」を重んじる体質に対し、DeNAは革新的な風土です。もちろんヤクルトも選手は個性的ですし、DeNAもチームプレーを大事にするので表現が難しいですが、両球団は練習に取り組む雰囲気から全く異なります。浩康選手も移籍当初は「こんなに自由でいいのか」と驚いたと思います。一方でプレーしている姿を見ると野球の楽しさを再認識しているように感じました。DeNAは昨季3位からCSを勝ち抜いて日本シリーズに進出。ビールかけで笑顔を見たときはこちらも胸が熱くなりました。

 

 ヤクルト、DeNAの両球団でプレーしたことで野球の奥深さを学んだはずです。現役は引退しましたが、浩康選手の経験、知識を若手に還元してもらいたいです。それだけでなく、組織がもつ体質、風土をしっかり捉え、チームの未来の方向性やチームが選手個人に何を求めているかを理解させる奥深い指導者として野球に関わってほしいと思います。彼が再びグラウンドに戻ってくる日が待ち遠しいですね。

高橋純一(たかはし・じゅんいち)  1976年8月18日、神奈川県横浜市生まれの42歳。MLBサンディエゴパドレスで通訳兼コンディショニング補佐を務めた後、千葉ロッテマリーンズ、ヤクルトスワローズ、DeNAベイスターズファーム等でチーフトレーナーとして活動。17年より独立。幅広いストレングス&コンディショニング領域をアレンジ、シンプル化させ、「俺、最高。」「やってみるをかなえる。」をキーワードに老若男女問わず、自分の肉体の可能性を高め、向上していくサポートを行う。コーポレートコンディショニングという企業のトレーニング意識を変えるコーチングも担う。 J.T. STRENGTH & CONDITIONING コーポレートサイト(http://www.jt-sc.com)