根尾、吉田輝星…スコアラーが新加入の選手を分析する際の注目点とは

 

 林昌範です。春季キャンプも各球団で実戦に入ってきました。スポーツニュースでも今年のキャンプ特集では例年以上に新人選手に注目が集まっています。特に高卒ルーキーの中日・根尾昂選手、ロッテ・藤原恭大選手、広島・小園海斗選手が中心になっています。個人的には藤原選手が高校生とは思えない素晴らしいスイングで、これからの実戦でどれぐらい活躍をするのかとワクワクしながら見ています。

 

 実戦が始まるとバックネット裏で各球団のスコアラーの方たちが本格的に他球団の分析に入っていきます。新人選手はもちろん、トレードで加入した選手、新外国人選手、昨年と投球フォーム、打撃フォームが変わった選手を鋭い視線で重点的にチェックしています。あるスコアラーと話したのですが、「ブルペンや打撃練習はもちろん見ているが、やはり試合になってみないとデータはなかなか取れない。まだ調整段階にあるから試合でも見極めが難しい」と話していました。確かに現役時代の僕自身もそうでしたが、キャンプ中は投手であれば自分の軸となる球を中心に投げることがあれば、相手打者との駆け引きでシーズンとは違う投球の組み立てをすることもありました。

 

 

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 スコアラーから入ってきた情報は現場でも共有します。自分がオープン戦登板の時は「あの外国人選手、インコースが苦手らしいから全球インコースでいってくれ」と言われたこともありました。逆の場合もあります。オープン戦は「餌巻き」で弱点のコースをあえて突かないこともあります。オープン戦で毎試合のように安打を打ったり、本塁打を量産した外国人選手がシーズンに入ると全く打てずに結果を残さないまま日本を去るケースがありますが、これは投手の攻め方が明らかに変わったからです。変化球打ちが苦手選手にあえてオープン戦では得意な直球ばかり投げて気持ち良く打たせて、公式戦に入るとスコアラーから得た情報をもとに徹底した変化球攻めで打撃を崩しにかかります。

 

 各球団のスコアラーは各投手、打者のデータを綿密に取りますが、中には毎年コンスタントに結果を残し続けている選手もいます。弱点がなかなか見つからないですが、スコアラーは必死に探してくれます。朝から夕方まで選手の動きをチェックし、夜遅くまでパソコンに打ち込んで情報をまとめる日々は大変だと思います。戦いはグラウンドで戦う選手たちだけでなく、スコアラーによる「情報戦」も重要な要素です。現場がスコアラーから得た情報をどう生かすか。ファンの皆様もオープン戦と公式戦の打者への配球の違いに注目してみても面白いかもしれません。

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林 昌範(はやし・まさのり) 1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの35歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。