林昌範連載第31回 少年野球で覚えた危機感 親が手伝えない場合は子供が参加できないケースも

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 先日、DeNAの筒香嘉智選手が外国特派員協会で開いた会見は大きな反響を呼びました。勝利至上主義が子供たちの怪我につながっていることを指摘し、改善策としてリーグ戦の導入や球数制限の実施を掲げていましたが、野球人口の拡大や子供たちの未来を見据えて考えなければいけない問題だと思います。現役のプロ野球選手が訴えるのは異例の出来事かもしれませんが、勇気を持って問題提起した筒香選手の姿勢は素晴らしいと思います。

 

 私も現役引退して昨年からさわやか野球教室(読売新聞主催)に参加させて頂いたり、少年野球チームの指導に携わっていますが、深刻な問題を色々耳にします。指導者はほとんどの方がボランティアで指導しています。父兄も手伝いで参加するため「お茶当番」などで大きな負荷がかかっています。両親が共働きで手伝いに参加できない子供は野球チームに入ることができない話も聞きました。都心を中心にボール使用禁止の施設が増えたため、練習場所が少なくなり野球をしたくてもできない環境になっているという問題もあります。

 

 もちろん、一朝一夕に解決できる問題ではないと思います。指導者や親の負担を少しでも減らし、子供たちが貧富の差関係なく野球できる環境を整備しなければいけないと感じます。指導者に関しては暴言を吐くのは当然許されることではありませんが、子供が間違ったことをした時にしつけとして怒ることにもブレーキをかけているケースがあります。

 

 アマチュア指導者向けの講習会は全国各地で開催されていますが、マニュアル書を制作するのも一つの方法だと思います。チームプレーを乱す態度などは注意する必要がありますが、ミスをした子供への暴言は許されません。これはチームの垣根を超えて徹底しなければいけません。また、共働きの世代が増えている時代で、「お茶当番の廃止」など親の負担を減らすことも明文化した方が良いと思います。親が少年野球の手伝いに参加できないなら、子供は野球ができないという状況は異常です。子供の野球離れを防ぐために改善すべき点はたくさんあると思います。

 

 プロ野球も各球団で子供たちに野球を教える「ジュニアアカデミー」が開校し、各地域で普及活動を行っています。子供たちもプロ野球チームと同じユニフォームを着たいという要望が多く、アカデミーの入校待ちも出ているそうです。昨季限りで引退した巨人・山口鉄也投手、西村健太朗投手ら元プロ野球選手が身近に指導してくれる環境があれば野球人口が増えるのではないでしょうか。僕も一人でも多くの子供たちが野球を好きになってくれるように、今年も他の指導者の方々と協力し合いながら活動していきます。

[前回の連載] 林昌範連載第30回 野球だけじゃない…新人たちのグラウンド外の苦労とは - IMPRESSION

林 昌範(はやし・まさのり) 1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの35歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。