林昌範連載第30回 野球だけじゃない…新人たちのグラウンド外の苦労とは

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 プロ野球選手はつかの間の休息を終え、来季に向けて自主トレをスタートしていますね。一人で黙々と練習する選手、他球団の一流選手と合同で練習して技術を習得しようとする選手など動きは様々ですが、最も注目されるのはやはり新人合同自主トレではないでしょうか。大阪桐蔭から入団した中日・根尾昂内野手、ロッテ・藤原恭大外野手、金足農から入団した日本ハム・吉田輝星投手のトレーニングの様子をテレビで見ると、17年前に新人だった時のことを思い出して懐かしい気持ちになりますね。

 

 新人の選手は新しい環境に慣れるだけでも大変ですが、たくさんの首脳陣の方や報道陣がいる中で練習するため心身で疲労度が大きいです。僕も疲労困憊になった日々を思い出します。ドラフト7位で巨人に入団したので周囲から注目されていませんでしたが、少しでも首脳陣の方にアピールしたくて、まだ1月なのに常に100%を出してプレーしていました。春季キャンプがいらないぐらい必死に練習していましたね。

 

 どの球団の新人合同自主トレでも初日に持久力テストがありますが、巨人でも3000メートル走がありました。その練習を終えて、「このしんどい練習が毎日続くのか。プロの練習についていけるかな」と不安になったのは今でも鮮明に覚えています。練習の合間には先輩方に挨拶もしなければいけません。「あの先輩に挨拶したかな?」と同期で相談もしていました。それぐらい毎日色々な方が球場にいますから、人の顔も覚えきれない状況になってしまいます。中には新人の選手に2回挨拶された人もいると思います。

 

 挨拶の話を出しましたが、グラウンド外でも新人は神経を使わなければいけないことが多いです。高校、大学時代に寮生活で慣れている選手もいると思いますが、寮のルールなども覚えなければいけません。僕はプロに入ってから初めての寮生活だったので、ジャイアンツ寮に入った時には朝に球団旗を揚げ、新聞をきれいにまとめて、アイシングの氷を用意するなど朝から準備しなければいけないことが多く、本当に苦労したのを覚えています。他にも住所変更、税金の手続き、春季キャンプまでに必要な生活用品の買い出しなどやることが山ほどあり、あっという間に時間が過ぎて気づいたら春季キャンプインしていました。

 

 傍から見ればわかりにくいかもしれないですが、新人は新しい環境で目に見えない苦労がたくさんあります。ただ僕と違って根尾選手、藤原選手、吉田選手など今の高卒ルーキーはしっかりしているので余計な心配かもしれませんが…ファンの方々も温かい目で見守って頂けたらありがたいですね。プロ野球の世界で活躍する姿が楽しみですし、ケガだけには注意を払ってキャンプインの2月1日を迎えてほしいと思います。

[前回の連載] 林昌範連載第29回 西武は連覇の可能性も十分 「内海加入」で得るプラスアルファとは - IMPRESSION

林 昌範(はやし・まさのり) 1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの35歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。