林昌範連載第25回  セ・リーグにはいない…ソフトバンクを支える頼もしい「懐刀」とは

f:id:imp0201:20181228123643j:plain

 

 林昌範です。日本シリーズは連日のハイレベルな熱戦で盛り上がっています。広島はリーグで3連覇を達成し、ソフトバンクは最近5年間でリーグ優勝が3度で今季は2位から下克上で日本シリーズ進出と両球団の選手たちは大舞台に慣れています。個人的に見ても打線の破壊力、守備力、先発投手の力はほぼ互角だと思います。ただ広島や他のセ・リーグの球団にいないタイプで、ソフトバンクの「懐刀」としてチームに不可欠な選手がいます。僕は救援陣の屋台骨を支える嘉弥真投手の存在が非常に大きいと思います。

 

 日本シリーズは4戦を終えてソフトバンクが2勝1敗1分と優位に立ちましたが、力は拮抗しているので試合終盤まで接戦の試合が多いです。嘉弥真投手が投げる場面は勝負の分岐点です。3戦目は6点リードから広島が安部選手の満塁弾などで1点差に迫られた8回1死に登板。広島打線が勢いに乗った中での登板でしたが、田中選手を空振り三振。菊池選手を右飛に仕留めて反撃を断ちました。4戦目も3点リードの8回に登板。1番から始まる「タナキクマル」を三者凡退で切り抜け、9回の守護神・森投手にきっちりつなぎました。

 

 同僚のモイネロ投手、広島のフランスア投手のように同じ左腕でも目を見張る剛速球を持っているわけではありません。ただ左のサイドスローからスライダー、シュートを内外角にきっちり投げ分けて失投が皆無に近い。走者を得点圏に背負った場面も左打者の内角にシュートを投げ切れるのは凄いです。何度も修羅場をくぐり抜けてきたからこそ投げ切れるマウンド度胸が備わったのだと思います。4戦目はイニングの頭から投げましたが、シーズン中は回の途中で投げる機会が多いです。どんなにピンチの場面でも嘉弥真投手が抑えてくれるという信頼があるからこそ、首脳陣も早い回から中継ぎをつぎ込めるのだと感じます。現役時代は同じ左腕のセットアッパーだった僕も短期決戦は失敗してはいけない重圧を感じながらマウンドに向けて準備していました。嘉弥真投手の凄さを感じると共に、これからの登板にも注目したいと思います。

林 昌範(はやし・まさのり) 1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの35歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。