林昌範連載第22回 現役引退…周囲が一目置いたDeNA・加賀のプロ意識とは

 

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 ペナントレースも終盤に差し掛かり、優勝争いやクライマックス・シリーズ争いで盛り上がっていますが、この時期は今季限りでユニフォームを脱ぐ選手が報道される寂しい時期でもあります。

 

 特に今年は巨人・杉内俊哉さん、栃木ゴールデンブレーブス・村田修一さん、DeNA・後藤武敏さんなど野球界を長年引っ張ってきた「松坂世代」の先輩方が今季限りでの現役引退を表明しました。皆さんがご存知の素晴らしい成績を残した選手たちでも、故障、若手の台頭、チームの編成状況など様々な理由で引退しなければいけない。厳しい世界だなと改めて考えさせられました。

 

 「松坂世代」の先輩方の現役引退が大々的に報じられる中、DeNA・加賀繁投手も先日に現役引退を発表しました。加賀投手には特別な思いがあったので、引退の一報を聞いたときは非常に複雑な気持ちでした。僕が現役時代、12年にDeNAに移籍してから同じ中継ぎで共に戦いましたが、本当に「チームの為に投げる」投手でした。本人も引退会見でバレンティン選手との対戦を印象深いこととして挙げていましたし、ファンの方もそのイメージが強いと思いますが、僕は縁の下の力持ちとして頑張っていた姿が忘れられません。試合の中盤以降ほとんどの強打者に合わせてブルペンで肩を作っていました。もちろんそれが加賀投手の仕事ではありますが、ブルペンで何度も気持ちを入れて、試合では投げないの繰り返しの中で彼は愚痴一つ言わずブルペンを行き来していた姿に感銘を受けました。

 

 新人の時は先発投手、救援に配置転換以降はセットアッパー、ワンポイント、敗戦処理とチームのために身を粉にして投げ続けてくれました。9年間の現役生活で278試合登板、12勝22敗72ホールド1セーブ、防御率4.03。その数字以上にチームへの貢献度は非常に高かったと思います。彼はどんな時でも「準備、行動、反省」を大事にしていました。野球に取り組む真摯な姿勢や常に周囲を気遣う姿勢で後輩からも慕われていました。後輩たちが加賀の「プロ意識」を引き継げば、DeNAはもっと強くなると思います。

 

 鉄腕と呼ばれた男が今年は8試合登板しか出来なかったこと、家族の事、自分の投球が出来なくなったこと…考え抜いて引退を決断したと思います。「本当にお疲れ様」という言葉と共に、加賀の一ファンとして、またグラウンドに戻って来てほしいと思います。

林 昌範(はやし・まさのり) 1983年9月19日、千葉県船橋市生まれの35歳。市立船橋高から01年ドラフト7巡目で巨人入団。06年には自身最多の62試合に登板するなど主に救援で活躍。08年オフにトレードで日本ハムへ移籍した。11年に退団し、12年からDeNAに加入。昨オフに戦力外通告を受けて現役引退した。通算成績は421試合で22勝26敗22セーブ99ホールド、防御率3・49。186センチ、80キロ。左投左打。家族はフリーアナウンサーの京子夫人と1男1女。