新人のオリックス・田嶋投手が5勝、DeNA・東投手が4勝と安定した投球で先発ローテーションに定着しています。ドラ1左腕の両投手ですが、投球スタイルは対照的だと思います。田嶋投手は身長182センチの長身で左腕の使い方が独特です。ギリギリまで左腕が体に隠れているので打者はタイミングを取りづらく、直球に差されて変化球に泳がされる。一方の東投手は身長170センチと小柄ですが全身を目一杯使って投げるパワーピッチャー。直球と同じ腕の振りで投げるチェンジアップも効果的で三振の山を築いています。
両投手が勝てる理由は技術だけではなく、精神的な強さも要因だと思います。2人は右打者、左打者の内角にきっちり直球を投げ込みます。新人が大先輩の打者、外国人に懐を突くことはなかなかできません。私が若手だった時、内角に要求するサインが出ると「当てたらどうしよう」という恐怖心がよぎることがありました。実際に死球を当ててしまい、「このクソガキ!」と相手打者に怒鳴られたこともあります。ただ勝てる投手は内角をきっちり突きます。突かないと打者に踏み込まれて変化球にも対応されるからです。東選手は右打者の内角を突く直球の精度が抜群です。見せ球でもウイニングショットでもきっちり投げ切れるため、これからも勝ち続けると思います。
3日のオリックス―巨人戦は田嶋投手が6回まで8安打を浴びましたが2失点と試合を作りました。一方の巨人・内海投手も5回1/3で1失点とベテランらしく要所は締めました。新人とベテランの投げ合いでしたが、強気に攻め続ける投球でした。プロを目指す投手たちはこの試合を観て両左腕からお手本として参考になることが多かったのではないでしょうか。田嶋、東の両投手は新人王、2ケタ勝利も十分に狙えますし、チームの中心として期待される素材だと思います。